昨日、びっくりするようなニュースが朝から2つ。
まず、朝のニュースで、楽天が携帯キャリアに参入へ、というニュース。楽天側は、検討しているのは事実とコメント。
そして、
午後になって、楽天が、携帯キャリアに進出を決めたことを正式発表。今日の取締役会で決まったそうです。
これまでも、近年いろいろな携帯会社ができたような気がしますよね。でも、今回は特別、これまで数十年に渡って維持されてきた現状が変わるかもしれないんです。
全携帯キャリアで仕事をした経験のあるGucchieが未来を予想します!

携帯キャリアとは?
携帯キャリアとは、「自社で携帯通信網を持っている携帯会社」と言うのが正しいでしょうか。
docomo
au
Softbank
の3社のことを指します。
逆に、自社では通信網を持たず、docomoなどから回線を借りている会社はキャリアとはいいません。いわるゆ格安simなどはこれに当たります。
また、楽天モバイルも自社では通信網を持たず、docomoから借りていました。
格安simで利益を出す難しさ
格安simは、通信網を借りる立場なので、通信速度などは、キャリアで契約するのに比べると落ちてしまいます。なので、値段を下げて対抗するしかありません。
docomoなどに、回線使用料も支払う中での価格競争では、利幅が小さいことは容易に想像ができます。
現在の楽天モバイルの契約者数は、約140万。シェアで言うと1%にも満たないそうです。利幅が小さくて、シェアも取れなくては、大きな利益は望めません。
1月に電波の割り当てを申請へ
携帯電話の通信網に使われている電波帯は、国(総務省)が管理しています。来年の1月に、あたらしい電波帯の割り当てを総務省に申請することを楽天が決めたのです。
docomo, au, Softbank各社が周波数帯を持っており、今回のように、新たに割り当てられる電波帯があるときは、この3社のどこが取るか、という状態でした。
今回は、新規参入を目指す楽天が申請することで、楽天側に問題がないと総務省が判断すれば、楽天に割り当てられると見られます。というのも、こうした形式の割り当てでは、新規参入事業者が優先されるためです。
具体的な計画
新規MNO事業に関する計画案
(1) 当該事業を担当する部門
新規に会社を設立することを予定しています。
(2) サービス開始時期
2019年中のサービス開始を予定しています。
(3) 当該事業の目標ユーザー獲得数
1,500万人以上のユーザー獲得を目指します。
(4) 資金調達等について
携帯電話基地局の設置工事等の設備投資のための、資金調達を想定しています。
資金調達残高は2019年のサービス開始時において約2,000億円、2025年において最大6,000億円となり、その後当該残高は逓減していくと想定しています。
楽天のプレスリリースに寄ると、まず2019年中にサービス開始予定とのこと。
つまり、2年後までにはサービスを開始したいということ。また、そのときまでに2000億円を投資するということ。
ただ、現実問題からして、2000億円でdocomoやauに並ぶような通信網を全国に展開することは不可能で、まずは、都市部などにエリアを限定してスタートするのではないでしょうか。
2025年までに6000億円ということなので、2025年あたりに全国規模、つまり、docomoなどに肩を並べる存在になりたいということではないでしょうか。
目標ユーザー数が1500万人とのことですが、これは目標達成時期などは明記されていません。この規模で言うと、シェア10%くらいになるので、市場に対しても相当な影響力を持つと思われます。
携帯業界はどうなるのか
当初は、都市部など限定したエリアでの展開が予想されます。その状態では、ほかのキャリアに対してハンデを背負う形になるので、やはり価格で勝負してくると思われます。
それに対して、docomo, au, Softbankなどは、徹底的に潰しに来るはずです。どの業界でも、敵は少ないほうがいいんです。楽天への流出阻止へ向け、対抗料金プランを出してくるでしょう。
消費者からすると価格競争が進むので、おトクに携帯を使うことができるようになりそうですね。
携帯キャリアからすると、潤沢な資金があるので、対抗することもそれほど苦ではないでしょう。また、楽天も相当なキャッシュがあるので、これまた対抗してくる体力はあるはずです。ただ、設備を拡大しながらの消耗戦となるとさすがの楽天でも少し大変かもしれませんね。
楽天の携帯キャリアはどんなものになるのか
まだ、2年も先の話ですが、どのようなサービスが展開されるのか、予想してみましょう。
販売形態
現在では、携帯キャリアは店舗で、格安simはネットで、という契約が主流です。楽天モバイルも店舗はありますが、それほど多くありません。
とくに楽天の場合、「楽天市場」「楽天トラベル」などのweb上のサービスに強いことから、web上での契約が多い、あらたな形の携帯キャリアとなっていくのではないでしょうか。
ただし、ネットにあまり詳しくない方など、店舗での契約を希望する方が多いのも事実。そのため、家電量販店やショッピングモールなどに出店をすすめるでしょう。ただ、そうすると、人件費などもかかってくるので、どのあたりでバランスを取っていくかが難しいですね。
取扱機種

現在の楽天モバイルでは、多くのアンドロイド端末を扱っていますが、iPhoneの扱いは基本ありません。Apple側が基本新規参入組には売らせてくれないのでしょう。
・iPhoneがとっても人気であること
・Apple store でsimフリーの端末を購入することはあまり一般的でないこと(わたしはこれですが…)
から考えると、なんとしてでも、iPhoneを扱いたいところです。
おそらく、YモバイルやUQモバイルなどが扱っている旧型の機種、iPhone6sやSEといった型落ちの機種を扱うことはほぼ間違いなく、サービス開始の時点でできるでしょう。
ただし、最新機種をサービス開始の時点で提供できるかはきわどいと思います。これが実現するかしないかで、大きく楽天の携帯キャリアとしての結果が変わってくるのでは。
料金体系
現在の携帯キャリアは、基本的に従量制になっています。使用するデータ容量に寄って値段が変わってきます。
最初は、契約者が少ないと思うので、比較的通信料に余裕があるはずです。なので、
「値段は携帯キャリアと同じくらいだが、使える容量が桁違い」
というような形が理想ではないでしょうか。
同じ容量で、低価格、という選択肢もありますが、それだと収入が増えないので、高いけどいっぱい通信できる、という方がいいのではないでしょうか。
もちろん、低価格のプランを用意することも必須ですが。
これに対し、携帯キャリアも使える容量を増やして対抗すると思いますが、それをすると多くのユーザーを抱えているキャリアでは、通信速度の低下につながってしまい、下手をすればユーザー離れになってしまいます。なので、この点で対抗はしにくいですよね。どちらにしても、楽天側に有利に働くのではないでしょうか。
もっとも、楽天のユーザーが増えてくれば、通信容量を多いままにはできず、値段が上がってくるかもしれませんけど。
まとめ
参入当初はかなり難しい環境にはなると思いますが、ユーザーにとっては、新規参入で価格競争が進むことは嬉しい限り。
これまで以上に、自分に適したキャリアを選ぶことが求められますね。